梅田雲浜自筆の『訣別』

梅田雲浜自筆の『訣別』
梅田雲浜自筆の『訣別』

梅田雲浜の書を持っているという方からその書をご奉納いただきました(令和2年1月6日)

 

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梅田雲浜『訣別』

 

妻臥病牀兒叫飢

挺身直欲拂戎夷

今朝死別與生別

唯有皇天后土知

 雲濱

 

妻は病床に臥し児は飢えに泣く

身を挺して直ちに戎夷に当らんと欲す

今朝死別と生別と

唯皇天后土の知る有り

 雲浜

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「妻は病に伏し、子どもは飢えて泣いているけれども、私は身を挺して外敵(ロシア艦と思われる)を倒そうと思う。今朝、家族と死別するか、生き別れになるかは、天地の神々が知るところである」

 

 安政元年9月、ロシア艦隊が大坂湾に入ると聞いた梅田雲浜が十津川郷士たちとロシア艦を襲撃するために、病床の妻と子どもを置いて旅立ちます。この書は、このときの心境を詠んだ七言絶句です。いくつか同じものを書き残しているそうです。

 

ちなみに辞世の句としては下記を残しています。

「君が代を おもふ心の 一筋に 我が身ありとも 思はざりけり」